たかさわさんとお別れした後、研修所最寄り駅(といってもここからバスでさらに20分以上かかる)まで戻ってきたものの、研修所行きのバスは今出てしまったばかり。次のバスまで1時間以上あるため、しかたなく駅近辺で時間をつぶすことに。
こういうときはまず本屋を探します。立ち読みで時間をつぶすのは学生時代からお手の物。喫茶店や飲み屋で時間をつぶすより安くつくはずですが、時折普段なら買わない本も買ってしまうので、そこは微妙なところです。
で、買っちゃいました。
「世界征服」は可能か? ちくまプリマー新書 岡田斗司夫著
この本は、あなたの小さいときの夢は「世界征服」ではありませんでしたか?という問いかけに始まり、あなたはどんなタイプの支配者になりたいですか?と続きます。
A魔王タイプ
例:「レインボーマン」の「死ね死ね団のDr.K」・「ドラゴンボール」の「ピッコロ大魔王」。このタイプは別名「人類滅亡型」で、「正しい」価値観で全てを支配したいタイプだそうです。でも被支配者を滅亡させてしまうと、支配者に実利が伴わない問題が残ります。
B独裁者タイプ
例:「DEATH NOTE」の「夜神月」・「バビル2世」の「ヨミ」。歴史上の人物としては、私たちになじみの深い(笑)ヒトラーです。このタイプは、別名、人類の管理屋さん。部下は増え、悪の組織も大きくなりますが、自分の仕事は増えるばかりで、過労死が待っているタイプだそうです。
C王様タイプ
例:「ドラゴンボール」のレッドリボン軍総帥。実在の人物では、北朝鮮の某氏。快楽原則で、自分のわがままや、贅沢のために人類を支配したい人。某氏はともかく、レッドリボン軍総帥は「自分の背を高くしたい」という個人的願望でドラゴンボールを集めていたことを腹心の部下に知られ、「くだらない」とその部下に殺されてしまいます。自身の快楽で世界征服を企んでも、組織の部下のコンセンサスは得られないということでしょうか。
D黒幕タイプ
例:007シリーズの「スペクター」。この手のタイプは、悪事の黒幕でいることに快楽を覚える、いわゆる策士です。しかし結果より過程を楽しみ、悪の美学を尊ぶ傾向にあるため、効率が悪いことがしばしばだそうです。
ゲーマーはすべからくこのタイプかもですね(失礼)。
本書では、世界征服を企むボスをこのように分類定義した後、どのように世界征服をすべきか、まずは何から着手すべきか、実際に征服した後どうなるのか、といった点をシミュレートしつつ論をすすめる構成になっています。
最終的には、世界征服はあまり割に合わない事業であることや、そもそも現代において世界征服とは、悪の軍団とは、どういう性質のものなのかという点に考察が及びます。
あんまり書くとネタバレですが、ふざけた切り口から入った話が最後には痛烈な現代社会批判に繋がるカタルシスは、知ったかぶりなテレビのニュースショーなんかより、よっぽど面白いです。まあ取り寄せ注文してまで読む価値があるかは分かりませんが、書店でみかけたら買って読んでも損は無いと思いますよ。(つづく)