大河ドラマ「軍師官兵衛」はいよいよ佳境にはいり、これから秀吉の死を経て、関ヶ原合戦へと向かっていくところです。
中盤は今まであまりスポットが当たらなかった「荒木村重」が描かれているのが良かったし、今は秀吉がグダグダになっていく過程が書かれている点がいいなあと思って観ているのですが、ここにきての三成のブラック振りもなかなかのものです。
官兵衛が主人公なので、対立軸である三成は敵役として描かれるのは当然ですし、福島政則、加藤清正、黒田長政といったアンチ三成派の視点では、まさにあのように見えていたのではとも思います。
それにしてもここ最近は、「さわやかな三成」「憎めない三成」が続いていたこともあってずいぶん新鮮です。 田中圭さんもここまでの悪人を演じたのは初めてではないでしょうか。
そもそも言葉通りの策士であった官兵衛を主人公として正当化するわけですから、少々悪い程度ではつり合うわけはありません。
家康ぐらい大御所であればネームバリューもあって描きやすいのでしょうが、官兵衛は結局はそっち側の陣営についてしまいますから、家康を単純な対立軸にはしにくい。
もうこうなったら、今度の三成君にはとことんブラックを極めていただきたい所。
田中さんよくがんばってると思うな。
「悪役をちゃんとやれるのは上手な役者なんだよ」って姪子さんにいわれて泣いたのは、確か及川ミッチーさんでしたが、田中さんにもそういう評をあげたい。
お話を分かりやすくするために(自身を正当化するために)、対立軸を設けて徹底的に悪いイメージを作りあげるというテクニックは、何もドラマの世界だけでなく、現実の世界でもごく普通に行われていることです。
ドラマの方はそれを知った上で楽しめばいいし、現実の世界ではそのような「あざとい企み」に乗せられないようにすればいいだけの話でしょう。
むしろ現実世界での方が、あからさまなこの手の企みがあっちこっちで起こっている気がするのは、私だけでしょうか。